たったひとつの
“幸せ色”に。
和のウェディング―
雑誌を見ると、和の特集がない限り洋花メインのウェディングフラワーが掲載されています。けれども、最近では依然に比べて「和」のウェディングを挙げる方が多くなっているように感じます。
何百年と続く由緒正しい神社で、式を挙げたい
厳かな雰囲気のなかで、契りを交わしたい
最近では伝統的な白無垢の他にも、色打掛や黒引きをはじめ、時には洋装で式を挙げる方もいらっしゃいます。和婚の打ち合わせも、通常のお打合せと同様に約1時間程度のお時間をいただきながら、まずは新郎新婦が伝えたいメッセージやテーマは何か、どんなお召し物をご用意しているのか、といったことを中心に打ち合わせを行います。
今回は、地味な印象になりがちな「和」を、うまく「洋」と融合させて華やかに演出したい、ということと、お花以外にも「実」を使った季節感あふれる雰囲気にしたい、というご希望でした。
和婚の場合は、ほとんどの場合、ウェディングブーケがありません。 そこで、はじめに新郎新婦が座るメインテーブルフラワーのお色から決めていきます。 たとえば、テーブルクロスの色は何色なのか、新郎新婦の席の後ろの屏風、テーブルの長さ・幅などを中心に会場のハードウェアについてお尋ねしていきます。
ひととおり会場の様子をお伺いした後は、お召しものとのバランスなどを考えながら、華やかに、かつ大胆で、厳かに見えるようなお花をご提案していきました。 秋頃のウェディングでしたから、和と相性が良いダリアや、バラの実など季節感を意識しながらご提案してきました。
このお打ち合わせのときに、フラコッタデコとしては大切にしていることが1つあります。 それは、お花というものは、雑誌や本の写真を組み合わせて、言葉で説明をしてもなかなかお客様には伝わらないものなのです。 そこで、可能な限り、お店にある花を使いながらメインテーブルの色のバランスを表現していきます。 今回も、お店の中に和にピッタリなダリアがありましたから、それを手にとって一緒にイメージを膨らませていきました。
「当日のイメージが湧きました」
この言葉を聞くことができれば成功です!
和婚というと、三味線や琴、鏡開きなどの演出をイメージしますが、最近では和婚でも中華料理を楽しんだり、ウェディングケーキを用意したりと和と洋を融合した披露宴も多くなっています。ウェディングブーケとしてボールの形をしたボールブーケをお持ちになる方もいらっしゃいます。
今回は「和」の会場ですが、洋花を使ったケーキ台装花、ケーキナイフの他にも、贈答用の花束、受付花、ヘッドドレスなどをご注文いただきました。
途中、お打合せでご予算をお伺いしました。通常、お打合せの後にお見積りをご提示しますが、ご注文いただくウェディングアイテムが多い場合は特に、事前にご希望をお伺いしています。
というのも、イメージ通りのウェディングフラワーをお届けできるように、予算内で具体的な提案を行いながら打ち合わせができるからです。例えば花材で工夫できることや、仕入れで工夫できることをお伝えしながら、お打合せを進めることができます。今回も、1回のお打合せで当日を迎えることができました。
ウェディングフラワーの制作は、お届け日の前日。これが鉄則です。
まずは、新鮮なお花を、ベストな状態でお届けするために、花持ちなどを考慮しながらスタッフで制作順序を考えます。たとえば、ヘッドドレスはできるだけ挙式直前に作ります。お花が水切れしないように加工はしますが、短く切ってしまうために十分に花持ちに配慮しなくてはなりません。一方で、オアシスに活けているメインテーブルやゲストテーブルは水を十分に茎から吸うことができるため早めにつくります。
このように、当日に新鮮なお花を綺麗な状態でお届けできるように、料理と同様「段取り」が重要なのです。
当日は、朝から大忙し。まず、贈答用花束はラッピングを直前に行います。これも、新鮮な状態でお届けするための一工夫。 新郎新婦様がご両親にお花をお渡しするときに、綺麗な状態で花を咲かせているように最大限にココロを配ります。
夏場にウェディングブーケを届けするときには、車の中が高温になってしまうことも・・・。少しでも鮮度を保つだめにも、保冷剤が付いたケースにウェディングフラワーを入れて、直前まで冷蔵管理します。これも、お届けの工夫ですね。
そして会場に到着!会場によってですが、テーブルクロスやカトラリーのセッティングが未だな場所もあります。 そのような時は、出来る限りスタッフが会場にとどまり、スタッフ自らがセッティングを行います。ウェディングはそれぞれのプロが集まり、最高の状況に仕上げているのです。
私自身も「和婚」の経験者。ウェディングだけではなく、これからの人生、節目節目でお世話になる神社様。 年に1度の初詣だけではなく、子供が生まれれば「初宮」、「七五三」・・・と、何度と訪れる場所。 このウェディングがそのスタートとなります。 そのような記念すべき日を、お花を通じてお祝いできてうれしいです。おふたりの末永い幸せをお祈りしています。